「その通り」と認めれば悪口にならない。
トランプ大統領の説得力がない話で説得する話術~part11~
説得術で大切なことは「人柄」と「感情を揺さぶる言葉」は理解できましたか?
話の内容は二の次です。
詐欺師をイメージしてみたら分かりやすいと思います。
自分の説得力を上げ、相手の発言力を下げるには、相手の「話の内容」を否定するより相手の「人柄」を批判したほうが効果的です。
何度も言いますが、説得するのに大切なことは「人柄」と「感情を揺さぶる言葉」だからです。
「話の内容」は「人柄」と「感情を揺さぶる言葉」に比べれば重要じゃない。
その「人柄」とは具体的に分けると3つあります(アリストテレスの弁論術)
- その1:思慮
- その2:徳
- その3:好意
この3つのうちどれかを、あだ名や悪口を言うことで、良くない印象を与えることで、相手の発言力を失わせることができます。
という話は前回の話です。
今回の話は、
逆にこの「説得術」を使われたときはどうするのがいいか?
発言力を失わせようと「人柄」を攻撃されたらどうしたらいいか?
あだ名や悪口で信用を下げようとしてきたらどうしたらいいか?
です。
トランプ大統領がテッド・クルーズ上院議員につけたあだ名「嘘つきテッド」。
このあだ名でテッド・クルーズ上院議員の「人柄」を批判するのに成功したのはなぜか。
それは「みんなが薄々そう感じていた」からです。
トランプ大統領が「嘘つきテッド」を発表したとき次のように付け加えました。
「聖書を高くかかげ、そして置き、いつも嘘をつくのだ」
そういうイメージがみんなの中にありました。
なので、テッド・クルーズ上院議員は「嘘つきテッド」というあだ名が定着し、発言力を失いました。どんなにすばらしい政策を言ったとしても。
みんなから納得されるような悪いあだ名、イメージを下げられるようなあだ名をつけられたらおしまいじゃんって思いますよね。
学生時代につけられたあだ名みたいな感じで。
「嘘つきテッド」のくせに。
それも嘘っぽい・・・だって「嘘つきテッド」だし。
何を言っても「嘘つきテッド」。
ただ、1回だけこの「嘘つきテッド」の効果が効かなかったときがありました。
それは、テッド・クルーズ上院議員が「嘘つきテッド」になったとき。
「(あなたが抱える心の)問題は、あなたと真実との関係性が薄っぺらなことだ」
「ドナルド、息を吸って。君にとってつらいのはわかる。でも息を吸ってみよう」
インチキ牧師クルーズがトランプ大統領をなだめ、落ち着かせている光景。
トランプ大統領は「嘘つきテッド」で応戦するが、いつものように盛り上がらない。
「嘘つきテッド」そのものだから。悪口になってないから。
トランプ大統領の「嘘つきテッド」の声も小さくなっていき、その後のテッド・クルーズ上院議員の発言には発言力がありました。
「人柄」を下げるようなことを言われたら「認める」。
否定しない。
ありのままを受け入れる。そしてそれに乗る。
悪口とかあだ名は、相手が嫌がったり認めたがらないから、効果がある。
嫌がらずに認めてしまえば、効果が薄れる。
発言の内容がころころ変わるトランプ大統領こそ「嘘つきトランプ」のはず。
なのに「嘘つきトランプ」というあだ名がしっくりこないのは、嫌がらないから。認めているから。
~P.S~
「あのときはそう思ったが今は違う」 by トランプ大統領
人は、一貫性を持ちたがる。
その一貫性を利用して、戦時中に捕虜を協力者に変えてた(影響力の武器 by ロバート・B・チャルディーニ)
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